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世田谷のmomentを訪れた友人達のフォトとメッセージです。
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momentと交流のある方々へのインタビュー
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#2 仙元誠三
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日本映画の撮影監督、仙元誠三氏のロングインタビュー
momentメンバーや仲間たちへのコンタクト取り次ぎなど、
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ざっくばらんにメールください。
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さまざまな分野からの特別プログラムです。
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#2 対談:伊藤正治×松尾博司×TERA(MOMENT)
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今回は「moment short film project」の2人の監督を迎えて、
short film、web movie等についてのディスカッションです。
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・2003.02.10 本日より、#2に更新されました!
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バックナンバーへは、上のバナーからどうぞ!
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作品#2 「ICE CREAM」 DVCAM作品/2003年 監督:松尾博司 出演:井上青嗣、川条美和 時間:約18分 |
ゆみさんの主食はアイスクリーム。サティの音楽のように淡々と食べ続けている。薫は、そんなゆみさんが心配でならない。しかし、ゆみさんにはアイスクリームを食べ続けなくてはいけない理由があったのだ…。 |
momentが注目したカルチャーやイベント情報、コラム等掲載のNEWS MAGAZINEです。
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#2
Stage:オフィスエイツー/「うた会」(博品館劇場)
Theatre:「自由に飛ぶために〜新・小次郎外伝〜」(北沢タウンホール)
Live:ザ・ピンクテイル・カラシンズ/新曲ライブクリップ「子鹿のバンビ」
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連載 KEN'S BOOK REVIEW / TERA'S SOUNDTRACK REVIEW
momentに関連したミュージシャン、バンド等を紹介します。
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#2: ED GERHARD / Virtue Records Tokyo
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米のギタリスト、エド・ガーハードのレーベル「Virtue Records」の日本代表である長谷川純也氏を迎えてのインタビューです。エド・ガーハードの貴重な演奏が観れます。
special issue: 伊藤正治氏×松尾博司氏:対談
moment short film project#1「或る男/THE MAN
WHO」の伊藤正治監督と、#2「ICE CREAM」の松尾博司監督の対談です。 聞き手:TERA (moment) (「short film」「web movie」「moment」などの話題で進行していきました) |
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<前半>
TERA (以下T):まず、伊藤監督から「short film」に関してのお話をお願いします。
伊藤正治(以下I):はい。まず、「short
film」に関しては、web上の「監督コメント」とか「プロフィール」の欄に書いてる様に、去年イギリスに行ってる時にかなり興味を持ってて。それは向こうのshort
filmのシステムというのが羨ましくて、モーメントで撮る前に『2本イギリスで撮ろう』と思って企んでて、2本の台本書いてちょっと動いていた時もあったんですよね。お金の問題とか色んな問題でちょっと今小休止してて、いずれは撮りたいんですが、モーメントで撮れないかって言ったら『うーん、ちょっと待とうね』って(笑)。いずれは多分撮れるだろうなって。イギリスは大体5月・6月が丁度いいんで、多分そのぐらいには行かしてくれるかなって。淡い期待を…。でも9月に日本に帰ってきて『丁度web初めるんでショートフィルムをメインにもってこようっていう風に考えてる』って言われて『いいタイミングですね』って事で新たにシナリオを書き上げて撮ったと。面白かったですよね。
T:面白かったですね。
I:「short film」の可能性っていうのがやっぱり出てきたと思う。「short film」に対する認識みたいのが、この2年くらいで大きくガラッと変わってて「webでショートフィルム」ってすごいチャンスだと思いますよね。ただ、今からビジネス的にどうなるかっていうのが先が見えない所があるから、それがきちっと回転できるような事になれば、「webにshort
film」が根づいていくようになれば、とても面白い事だと思いますね。海外だと「short film」っていう歴史はずーっとあるんですけれども、結局どこで配給するかっていう問題はあって、長篇映画の前にかけるとかではやってるんですが、「short
film」自体でお金が回収出来てるかっていうと、そうでもないと。で、彼らは配給では結構苦しんでて、配給に関する補助金みたいなのがあるぐらいなんですよね。webサイトっていうことで言えば、もうそんな心配ない訳で、例えばwebに関して言えば、今通信ソフトの問題みたいのがあって、韓国が非常に観やすくて、その次日本であるっていうような話ですけれども、そうすると「webサイトのショートフィルムフェスティバル」みたいな事を仕掛けていくとかいうことは山のように出来ると思うんですよね。だから今、割とそういう意味ではすごいチャンスなんじゃないかって思ってますよね。
T:なるほど。
I:そこでまあ、2本、TERAと一緒にやろうと思って、2本書いて『どっちがいいですか』って。
T:はい。
I:『或る男/THE MAN WHO』は割と今までの自分のスタイルみたいなのを踏襲して作ったところがあるんですけれども、もう一本っていうのはそこから離れてちょっと書いてみたんで、自分でやってみたいなというような欲望がありまして。でも「webでのショートフィルム」みたいな可能性で撮らしてもらってとっても楽しかったし、これからの展開みたいなところが楽しみですよね。
T:ハイ。『或る男/THE MAN WHO』が今、流れてるんですけれども、何かありますか?
I:これはもう致し方ないことで言えば、自分で本を書いて自分で監督して自分で編集してみたいな作業をやっていると、どこかやっぱり客観的になれない所があって、その時々で客観的になろうとは思うんですけれど、まだ自分の中では評価みたいのが、ちょっとわからないですね。
T:「moment short film project」の流れとして第2弾の『ICE CREAM』。松尾監督。で、僕の中ではこれから何本も作っていく中で、1本目は伊藤監督。もう何十年も映像・映画を仕事としている方に撮っていただいて。で、第2弾としては、どちらかというと作家的で、映像を仕事としてなくて自主的に映像を撮ってる方にっていう考えがあって、実は高校時代に一緒に8mm映画を撮ってた松尾君に撮ってもらった。最初の2本でねパターンていうかな?今後プロの人もアマの人も色々と混合してやっていけるっていうパターンを作ってみたいなって思って。『ICE
CREAM』は、まだ完成していないんだけれども、このprojectに参加してもらった感想を聞かせて下さい。
松尾博司(以下M)
:そうですね。『ICE CREAM』はですね、もともとは僕の中での短編小説だったんですね。アイスクリームを食べている女の子がいて、サティが淡々と流れていくという一つのイメージがあって、それはそれで短編小説として完成された世界の中で生きていました、というのがあります。この映画を撮るきっかけになったのは、ホントにTERAとの関係になっちゃうんだけども、高校の時に一緒に撮ってた。前科というかですね過去があったと。で、その後お互い別々の人生歩んでたんだけれども、ある日突然メールが来たわけだよね。10年ぶりぐらいに『今こういうサイトを立ち上げてるんで、一緒にやってみない?まあちょっと遊びに来ない?』みたいな話があって。最初はすごく驚いたのと同時に10年ぶりぐらいだったんで、ホントにぶっちゃけ『大丈夫かな?』って思ったの。『行って何を言われるんだろう』とかって思いながら。まあ『昔話でもしようかな』っていうノリで。で話を聞いてたら、言い方悪いんですけどホントに本気だったっていうか『こういう事がやりたいのか』っていうのが伝わってきたので、僕は僕なりに映画の関わり方として、プロとかアマチュアとかいろいろあるとは思うんだけれども、その関わりの中で『もし何か一緒に出来れば、また面白いことが出来るんじゃないかな』って。またバックボーンとしてはインターネット、webサイト、ショートムービーとかがあるという事だった。僕的に話を聞いてから『ショートムービーだったらこういうの』とか『webに載っけるんだったらコンテンツみたいな映像にしようかな』とかいろいろ発想はあったけれども、いざ出来上がってみたもの観ると「皆で作ったもの・皆で作った映画」っていう所にやっぱり落ち着いたっていうのが、自分的には発見であり『やっぱり映像っていうのはこういうもんなんだな』って再発見でもあったっていうとこが、今感じてるとこですね。まあ恥ずかしい話、年末の忙しい時に撮ったんですけど、感極まってちょっと泣いてしまってですね、すごい感動しました。撮影の3日間の間に皆すごく頑張ってくれて。僕も仕事が忙しかったとか、色々あるんですが。いずれにしても『もう少し色々出来るんじゃないかな』とかありながらもやっていて、皆が頑張ってくれる中で1つの作品を作れたっていうことが、僕にとってはすごく再発見だったんで、そういう意味では映画を撮ることによって、ちょっと自分の人生観が変わったっていう部分も実はあるんですよ。だから年末から最近にかけてまた編集やったりとかしながら、やっぱり面白いんだなと。これはどう転んでも忙しくても面白いからやるべきなんだなっていうのが、1つ自分の中で発見があった。ただ冷静な自分っていうのがもう一人いて、これを流して冷静に皆の意見を聞かなくちゃいけないなっていうか、自分の作品として何かをやる事は大切なんだけれども、人に観せるものだってことであるんで、webに載ってる以上はね。そこで、どう観る方と、言葉悪いけどケンカしていくかっていうか、良い関係を築きながら今後も続けていけるのかっていうのが僕の課題であって、それはショートムービーであろうが何か一つきっかけになって又いろいろ広がればいいと思ってるし、非常に僕的には実は「エポックメイキング的な作業」になったという風に思ってますね。元を辿れば高校時代から始まってる訳だから、人の繋がりってすごいなと新ためて感じてますけど。
T:松尾君とコンタクトを取ったのは昔の8mm映画をウエブで流すことがきっかけになってるんだけれども。実はwebを立ち上げる『0号』というテスト期間に流す映像が全く何もなかったんですね。『もう時間もない、どうしよう』ってことでKENと一緒に色々と捜してね。で昔の8mmが沢山出てきて『あ、もうこれしかない』って事で流そうと。やっぱり一緒に作った友人には打診しておかなきゃいけないと。その頃伊藤監督とは第1弾企画を進めていて、第2弾を考えた時に、プロの監督でずっと回転していくっていうのは逆に面白味がないっていうか、webならではっていうか、もっと若い作家の作品もどんどん混ぜこぜにやっていきたいっていうのがね。それと繋がって松尾君に「シナリオ書いてる・音楽クリップを撮っている」っていう話を聞いて。『じゃあ又一緒に撮ろうか』っていうことで、もう会う前に自分では決めてて。で、撮ってもらって。良かったなって。で、webムービーに関しては問題や課題は山積だけれども、僕としてはwebムービーも普通の劇場映画も、映画っていうのは「娯楽」だと思ってるから、さっき松尾君が言ってた、観せる人達の事を考えてというか、何かこう空いてる時間でポッと気楽に楽しんでもらえるものというか、そういう映画をどんどん作っていきたいというのがある。まあ、webの1つ。何万・何千万ってあるアドレスの中の1つのwebだから『一体これをどこの誰が観てるんだ?』っていう事は常に頭にあるんです。ただ「moment」のコンセプトではあるんだけれども、僕らの周りにいる物作りをしている方達と一緒にワイワイやっていく中で、どんどん交流してね。それがどういう結果になるかまだ全然わかんないし、特に何かを望んでいる訳でもなくって、そういう楽しみがこう自然とね、少しでも伝わって、そんな「娯楽」を、なるべくいろんな人達に観てもらえればいいなって思ってる。
M:そう『そういう場は、なかなかない』っていうのがあって。ただ、映画を作るというのは、やっぱり敷居が高い。シナリオにしてもやっぱりすごい面白いものとか企画性があるものとか、まあそれはそれでいいんだけれども、ただ若い人がなかなか出てこなくなっちゃってるっていうのも現状としてはあるのかな?っていう気はしていて。仮に良い脚本が出来たとしても、企画としてね最終的にフィニッシュにいくまでは、なかなかいかないって現状があるので、軽く何でも撮ってしまえばいいかというとそういう訳でもないんですけど、逆にそういう場が無くなってるのは怖いことでもあると思うので。
I:ショートフィルムってホントは一番それが良いですよね。日本で言えば、僕なんか日活ロマンポルノ出身ですけれど、ピンク映画とかそういう色っぽいものをとって、その後長篇をトライしていくみたいなことは結構十年以上前の話ですけど、あって。でも最近はそんな王道みたいのはなくって、皆それぞれ頑張ってやってるんですけれども。「若い映像作家達の出番はどこ?それを摘み取ってあげる」みたいなことで言えばショートフィルムっていうのは、特にwebだと『観てよ』ってすぐ威張れますからね。それはすごい良いことで。
M:「moment」の良い所は門戸が広いので、非常に。今回も映画の撮影をやっている中澤さんと一緒に仕事が出来て、大体照明を当てて映画を撮るっていうそのノリですよね。その手間を掛かったやり方っていうのがなかなか自主映画レベルだと出来ないっていうのもあったりとかするので、そういうのって皆いろんな人が関わって1つの作品を作り上げていくっていう事な訳だから必要だし、そういうのがないと逆に映画って面白くないんじゃないかなって思う。総合芸術だから、光当てる人がいて撮る人がいて演出したりとかいろんなこう団体作業っていうか、いろんな知恵が集まって作れるっていうすごく面白いと思うんですよ。
I:僕は逆に、その逆が出来るから面白いって所もあると思うんですよね。今デジカムで誰でも撮れるようになって、編集もパソコンで誰でも出来るようになって、で一人で出来んじゃないかって、そういう武器を、プロじゃなくても撮れるじゃないかみたいな武器を手に入れて。誰かにこうアピールしようかいう時に簡単に出来てしまうのが一つのすごいことではあるなとは思ってますよね。
M:ホントに、例えば編集して1つの作品を作り上げることで言えば、今マックとファイナルカットがあれば誰でも出来てしまうんで。僕が自主映画を撮ってたっていうのも、それが出来るようになって非常に作りやすくなったっていうのが一つあったんですね。だから一人で出来ると。で一人で撮りましたと。ただそこから何かその中でモアモアとしたものが残るわけですよね。で、それはやっぱり元々映画の持ってる魅力である、いろんなもの皆が掻き集めて作るぞみたいなそういうノリだったりとか、前の人はそれを突き詰めていくと一人に戻っちゃったりとかするかも知れないわけだし。
I:それを選択出来るっていう幅があるとこが良いですよね。
M:良いですよね。
T:今、話し聞いてて面白かったのは、伊藤監督と松尾監督の二人の間に、良い意味で、映像作りで感じてきた行程差っていうのか、やり方の差がある事で。片や35mmとか16mmとかフィルムで回して普通に映画産業の中で作業して、それを当たり前として映画作りをやってきた伊藤監督と、片やホームムービーっていうか、8mmから今のDVカメラっていうことを自分の武器として立ち回ってきた松尾監督。実はその2人の作品が「moment」で、♯1・♯2と流れていくという事が、今出来つつあるっていうのがすごい僕としては嬉しい。「ウエブ・ムービー」としての『面白さ』かな。
I:もっと広い視野に立てば、日本の映画産業っていうのは崩壊してもう何年も経ちますよね。で、若い人達もどういう風に教育していくのかってのも全然見えない中で、webっていうのがすごい力を持つんじゃないかって思ってるんですよね。「ショートフィルムを作れる、誰でも作れる」ってことで今度どんどん皆作品が出せるわけですよね。で、その中で競争していくみたいなね。今までみたいな日本の映画産業で言えば徒弟制みたいな、これでもものすごく良い所もあるんだけれども、その中で技術盗んでいく所があるんですけれども、それがもうダメな時に、全然違う形でしかもう再生はないんじゃないかと思ってて、ショートフィルムでディストリビューションである配給がもうそこに出来るっていう。松尾さんが一人で今まで撮った作品もこれから載っけられる。8mm映画の『LOVE
LETTER』が30年後・20年後、日の目をみるみたいなね。だから、それがやっぱりwebの凄さだなと思いますよね。で、これからもっと環境が良くなってって、2・3年経ってもっと良くなってってっていうことになると、これがすごい日常になるかもしれない。第2・第3のモーメントが出てきた時が一番面白いんじゃないかと思いますよね。
T:うん、そうですね。
M:ちなみにイギリスとかはどうなんですかね。ショートムービーっていう発想自体が結構最近じゃないですか、日本の方では、結構最近、短いオムニバスっぽいのがいっぱい出てきたりとかしてますけれども、ここ数年だと思うんで。イギリスはやっぱり前から、ショートムービーというのは定着してたんですか?
I:定着してますね。アメリカとか他の国もそうらしいですけど、そこら辺はよくわからないんですが。要するに映画学校自体がそうですよね。映画学校が要するに学生をどういう風に教育しているかっていうことで言えば、日本は例えば課題の台本を与えて『A班、B班、C班、さぁ撮りなさい』で合評会をする。向こうは違って『何やりたいんですか?』とか『こういうのをやりたいの?撮れば?』って、それで撮らしての合評会になる。それで最終的に向こうは卒業した時に、自分達でショートフィルムを撮れるっていう事までしてあげるってのがテーマですから。だから、最初入ってきた時はどうやっていいかわからない、カメラの扱いどうしていいかわからない。だけど、人をまるめこんでって、掻き集めて、ショートフィルムを1本でも2本でも作ってく。で、卒業した時にちゃんと自分で、資金はこう、役者はこう、台本はこう、機材はこう集めるっていうノウハウを貯える。で、そこで撮るっていう事ですよね。で、それに対するファンドももちろんありますけれども、観せる機会も何とか増えれば「何とかフェスティバル」みたいなのがあって、機会がある。機会があって観せて良いと人が集まる。次に台本貸して、国とか市とかのフォローはもちろんあるんですけれども、それが面白いとファンドがつく。予算が大きいショートフィルムを撮る。それでゆくゆくは長篇を撮れるっていうようなスタイルなんですよね。もちろんそれは、映画っていうものが向こうの人が皆文化だと思ってるんで、国とか市とかがファンドをつけるっていうのは要するに国民がそれを認めてるってことですよね。皆で応援してるっていうスタイルがあるから出来るんですけど、日本の場合それがちょっとないんで、きついかもしれませんけど。とっても羨ましいですよね。
M:そうですよね。
I:一番良いのは、その中でダメな人は、何回やってもダメな人は自分で辞められる。早く辞められる。で、他の自分に向いてるものを探せるってこういう、全然ダメな人はもう、すぐわかる訳ですから。これは良いですよね。
M:日本は出来ないから、持ち続けちゃう。
I:持ち続ける。次があるかもしれない、次があるかも。ないっつーの。だけど、どこかで習った優しさみたいなのがあって、それを口出せないっていうか。物凄く厳しいですけどね。だけどそれは羨ましいなって。
M:そうですよね。多分、日本で35mm撮ろうとかって思うと、やっぱり億単位の金がすごくかかっちゃったりとかして、そのリスクだけで多分、制作側も監督側もビビってしまうってのが多分あって、でもそれはそれでね映画の魅力だったりとかもするんだけどね、こういうデカイものを皆で作り上げようぜ、みたいなミッションがあってやるわけだから良いんだけど。やっぱり人の生活まで全て潰してやってしまうのが今の日本の映画にあると思うので。だから今おっしゃったみたいに、じゃあイギリスが良ければイギリスに行って撮ればいいと思うし、ハリウッドで映画が撮りたいんだったら僕はハリウッドに行きゃあいいと思うんですよ。
I:うんうん。
M:日本で、じゃあ映画撮るんだったらどうするかっていうと自分で考えればいいという考え方なんで、その一つが「moment」みたいな、TERAが言ってたみたいに、プロとアマチュアの垣根とかっていう所をまずとっぱらったとして、やっぱり何かモノを作るっていう点でシンパシーが合えば皆集まりあえるんだなってとこですよね。で、後まあ現実的な問題とすれば絶対お金の問題というのが当然出てくるんで、いいんですけど、ただまあDVなんで、予算かかってもこれぐらいっていう見解がね。例えば、人の人生を脅かすようなお金はとりあえずかかんない。
T:今ね、友人関係含め、いろいろ若い作家とか色んな方から、脚本が届けられたり、手渡しでもらったり、いっぱい読んでたりするんだけど、実は今、映画産業の中でやってられるスタッフの方々、演出家含めカメラマン、照明、美術とかの方々も同じぐらい興味を示してくれてて『一度やってみたい』って言ってくれる方も少なくないんです。それはすごいありがたいことだし、仕事として映画をやるっていうことよりか僕としてはサークル的っていうか、どこどこ大学の映画研究会みたいなノリの延長みたいな形で、皆そういう所を通過してった頃の感性をもう一度出し切ってワイワイと、そういう部分をね、大切にしてやっていきたいのがあって。そういう部分がすごいやってて面白い部分なんですね。
I:映画産業のシステムが崩壊してますから、どういう風なやり方でやったらいいかって皆それぞれ模索し始めてるんですよね。特に助手のシステムみたいのが完全に崩壊してて『今回入りますけど助監督さんいますか?』とか『録音部の助手さんは、今探してるんだけど』みたいな状態なんですよね。だから、もう今までのスタイルだと、もう出来ないんですよね。で、そこに他のことを持ってかなきゃいけない。それはもう、その作品そこの作品に合ったスタイルを生み出すしかないっていうような事になってるんですよね。皆やろうとしてるんだけれども、まだどうも回答が出来てない。多分こういうやり方でやるのが一番良いんだってないと思うんですよね。この作品はこうやりましょう、この作品はこういう風にやりましょうって今なりつつあって、それを皆で模索しているっていうか。「モーメント」のやり方は、それに近い。だからプロのスタッフも入ってきやすいっていうのが、そこら辺にあると思いますけどね。『これだから、こうやらざるを得ない』ってことを考えて『これをやるために、じゃあどういう風に集めましょうか?』とか『うーん』みたいなね。
M:多分最初に何かを始める時って、そういう自由な雰囲気だよね。まずそれが第一番に必要で、僕は結構、自分はサラリーマンやりながら今回撮ったっていうのもあるんですけど、そのかわり、これは頑張らなきゃっていう切実な思いで作ったりとかしてたんですよ。それは1作目が伊藤監督だったっていうのも実は。プロでやられている方で、2作目がアマチュアだとやっぱり…。アマチュアという言い方は僕は別に嫌いじゃないけれど、『あまりそういうノリでやり過ぎたら失礼かな』と思ったんですよ、僕の中で。それはやっぱりお金貰っていようが、貰ってないようが、撮る時はどうしても真剣にならざるを得ないんで、っていうことなんですけどね。だから、最初集まる時は自由な雰囲気で集まっても良いんだけど、今回は僕が色々忙しかったんで、準備が上手く行かなかったりという反省点はあるんだけど、その中でもやっぱり『遊びではなくて、真剣に』というのはちょっとはあったんですね。
I:まぁ、TERAの狙い通り?
M:自由に集めて真剣にさせてしまうという…。
I:順番を逆にしてね。
T:その、今、とても積極的に『一緒にやりたい』って言ってくれる方や友達が一杯いて、とても力が湧いて来る。片や『やりたいんだけどね、、』って微妙に言われる方もいて。こういうwebとかでムービーとか作ってると『スポンサーは?』とか『食っていけるんですか?』とか『時間がね』みたいにね。心配してもらえるのは嬉しいんですけど。でも自然と聞き流してしまったりして。例えば、松尾君も実はサラリーマンやってる訳で、でも、撮りたいとなったら休みの日とか正月休みとかね。時間作って撮る訳ですよね。だから『本当に作りたい』って言う人はそうやって時間を作ると思うし、いい意味で戦いを望んで来てくれたりするんです。
I:まぁ、その半年後、1年後また状況が変わることもあるかもしれないしね。
T:採算性みたいなものというのは、今はそのね、もっと後からの話ですね。
I:さっき、イギリスの職業の話になったんで。予算がどうのこうのと言う話になったんで。例えば1千万あった時に、1年前の日本だったら無理矢理90分撮るんですよ。向こうは1千万でショートフィルム撮るんですよ。当然、画のクオリティーが違いますよね。webでは向こうでは例えば、僕らが撮っているモーメントみたいのがボコボコ、ボコボコ生まれて来て、第2モーメント、第3モーメントが生まれて来て、そうすると今度はUKとかUSAでボーっと上がって来て。彼らはその時に作るんじゃなくて、ストックで消化するんですね。その時に予算の高いので、画のクオリティーがいいのがボーンとくる訳ですよ。これとの対決になってくる。
M:そう、確かにそうなんですよね。あの、いわゆる長い2時間の映画を見せて『どうだ』っていうインパクトと、以外と10分ぐらいでこう、すごく締ってて、もうあっという間に終わっちゃうんだけど面白かったなっていう映画のどっちが面白かったかと言うと、実は10分間ぐらいのだったりとかして、一生懸命2時間撮ってもそういう差が出ちゃうと言うのは、すごくシビアですけど現実ですよね。ショートムービーでも面白ければみんな面白いって言ってくれるし、下手したら、お金の何十億とかかってる2時間映画よりも面白いと言ってくれるかもしれないしね。
I:じゃあ、何分までをショートフィルムっていうかというと、向こうの人に聞いたら『長篇に対してショートなんでその定義はないんだけど、大体30分以下なんだよ』って言うんですよね。『その中で撮るなら10分以下が良いよ』って言われて。なぜかって言うと『配給の仕方、利用の仕方がいくつかある』っていうんですね。これが30分だと、どう利用したら良いか分からない。10分だと長篇映画の前に劇場で掛けてくれたりっていうのがあるんですけど、30分はかけられない。っていう。となると、割と10分前後が多いんですよ。向こうのファンドも15分以下とかっていう事で決めているトコも多くって。TERAにもその話はして『どうしますか』って、TERAはあんまり時間に関して何にも言わなかったけど。15分が今まで僕の最短ドラマだったんですよ。僕の歴史上。TVのオープニングだったんですよ。『世にも奇妙な物語』とか。だいだい15分なんですよ。ベスト記録を切ろうと。でも切れない…。あれは3つで45、6分なんですよね。だからその監督達の作品、3作品の中でやり取りしあうっていう。冗談で1万円あげるから1分頂戴っていう。
M:時間を切り売りしてる訳ですね。ていうか『或る男/THE MAN WHO』って、16分ぐらいでしたよね?
I:そう。でもさっきお話したように去年4本ちょっと台本書いて、台本書くと自分で大体長さが分かりますから、そうすると全部15分〜20分の間なんですよ。判で押したように。ノウハウのこう凝縮版みたいなことで言うと、15分っていうのは、これはなかなか切れない。そうすると10分、10分以下となると今までのノウハウじゃない違うようなモノから持ってこなきゃならなくって、それに去年、延々トライしているんですけど、なかなか上手くいかなくって。今年はそれを切ろうと思って。
M:実は『或る男/THE MAN WHO』のシナリオで聞きたかった事があるんですけど、あれって、第1稿が決定稿じゃないですか。あの、僕の感覚からすると『ICE
CREAM』もそうなんだけど、あれはこのまま続けてたらたぶん第5稿ぐらい書いてたと思うんです。最初から決定稿って出来ちゃうもんですか?
I:いい質問ですね。初めてです。
M:初めてっていうのは?
I:第1稿が撮影稿になったっていうのが。初めてです。
T:実は、僕の中で、ある意味『或る男/THE MAN WHO』に関しては、もう全て監督の好きに。1回目だから自由に撮らせてみたいっていうのがあって、スタッフリング、キャスティングに関してとか全て伊藤監督に好きにやって貰おうかなって。でも、その時々に希望は言ってあるんだけど。まぁ、8、90%くらいは監督の独壇場でやってる。
I:と言いながら軌道修正をする。『あっ、そうですか』って言って。『そうきたか…』って思いながら(笑)。
<後半>
I:『或る男/THE MAN WHO』は、プロットを形で起こした時に、キャラクターを立たせたいなと思ったんですよね。読み物としてはいいんだけど、引っ掛からない。その時にキャラクターをどうするかというのがすごく問題で、別に流れ自体がもう出来ているからそれは関係なくって、キャラクターさえ出来れば良いだけであって、プロットから台本に起こすのに時間がかかったんですよ。10日ぐらいかな。結構時間かかっちゃって。でも、流れは別にああいうもんだろうと思ってたんで。
M:個人的に興味があったのが、『或る男/THE MAN WHO』の中で、サラリーマンが主人公で、『人の何倍かの速度で自分の人生は生きて行くんだ』って言いながら、仕事に失敗してっていうところの描き方っていうのは、伊藤監督の中にあるんですか?テーマとして。そういう人間のキャラクターの作りとして、なんだろうな。上り詰めようとして失敗してしまった人間とか。あの作品を観て一番興味があったのが、実はそこなんですよ。なんか人間のキャラクターの作り方としてそこに焦点を当てているのかな?と。
I:僕が興味あるのは、色んな事ありますけど、キャラクターで一番興味あるという言葉で言えば、『魔がさす』っていう言葉ですね。『魔がさす』一瞬に人はどうするのか。で、あのアクションであり6分先にあり何でもいいんですが、その人がどうやって生きて来て、魔がさして、どう変わったかっていうのがよければいいなって思ってるんですよ。『魔がさす』って周りから見ると一瞬の事に見えますが、実は自分の中で蓄積されていって、一瞬でドカッと。
M:『魔がさす』んですね。
I:それで用意しているストロークをずーっと描いて、何かが触媒が来てこう転ぶとかね。或いは、こうなるとかね。っていうようなことが割とやりたいっていうか。
M:『ICE CREAM』でアイスを捨てるシーンが、『魔がさす』所なんですけど、監督が、そこのシーンに非常にこだわられていたのは、それなのかなとちょっと思って。嫉妬なのか何なのかっていう。
I:だから、嫉妬は人に対するアクションじゃないですか。
M:うん、そうですよね。
I:今までのずーっときた日常を自分で断ち切る行為でしょ。
M:なんか意外と共通点があるような気がするんですよ。『或る男/THE MAN WHO』と。イメージが重なったりするような部分も、表面的な部分もあるのかもしれないんだけど、なんか男の方から見ると喪失感みたいなものがある中での『こんなことしちゃった』みたいな一つ事件としてあって『ICE
CREAM』だとラブストーリー的な味付けをしているけれども『或る男/THE MAN WHO』だとそれがまた循環して行くみたいな味付けをしているし、意外に表面上は違っていても似たような感じなんじゃないかな?と勝手に思っちゃたりしていたんですけどね。1作目2作目比べて自分が。あとは伊藤監督が色々こう『ICE
CREAM』に対して言ってくれるっていうのがすごく嬉しくて、シナリオの段階から色々言ってくれてたじゃないですか。『1稿目が良いよ』とか、魔がさす様な事を色々言ってくれるんですよ。KENはKENで色々言うからそれがまた面白かったり。そういう関係がまたいいですよね。いろんな面白い個性を持っている人がやることによって。全然違う事を出しちゃったりする事もあるんだけども、そのまま出しちゃったりする事もあるし、僕はそういうのがすごい好きなんです実は。
I:プロの作業で言えば、台本をライターが上げて来て、それでロケハンしながらメインスタッフとまわってる時に、台本に関して『あーでもない。こーでもない』って。ところが自分が台本書いて、ロケハン車に乗ってると、あんまり人は言わない。『んー』みたいな感じになって。言えばいいのに。そこに自ら切り出すって。『僕は一緒なんで何も言わないんで、何か言って下さいよ』って言うと、ぼそぼそと言い始めるんですけどね。自分の中でやっぱりまとめてるんだろうなっていうような。自分の中の計算でやって行くんだろうなっていうような周りの見方みたいのがあるから、本当はちゃんと言った方が良いんでしょうけどね。
M:そういうのははっきり言ってもらった方がいいですよね。「こういう意見を持ってるんだ」って言ってもらった方が。十人いれば十人の意見があるから。
T:伊藤監督を一番にした理由の一つがね。過去に撮った作品群の並びが面白かったんですよね。
I:初耳ですよ(笑)
T:普通の一般もの映画じゃなくて、割とお色気ものであったりするんですけど。でも割とそれは人間のリアルな群像劇であったりとかして、僕の中で撮りたいショートフィルムっていうものに一番近いものを撮ってきた人なのかなって。それで一発目この人しかいないっていう感じで決めたんですよね。
M:もともとは出会いはどういう事だったの?
T:僕のロンドンの友人の所に伊藤監督が一年間いたんですけど、それで噂は聞いてて伊藤監督がロンドンで書いてたシナリオの話もメールで相談してもらってて、それをどうにか作りたいって事があって。それはwebの立ち上げの前に聞いている話なんだけど、その時にショートフィルムっていうものがロンドンでは通常のように作られてるんだって知ったんだよね。それが去年(2002年)の初めぐらいかな。その時はwebの話とは直接つながってなかったんだけど、webを立ち上げるって決まって数日後くらいにモーメントに遊びに来てくれた。その時には実はプロフィールとかチェックしてて(笑)
I:「色っぽいの」しか出てこないでしょ(笑)
T:その「色っぽいの」がショートフィルムを作るにあたって一番いい作品群の様な気がしたんですね。
I:「色っぽいの」って結局人間ドラマだからね。人間の感情でしかないから、色っぽい作品を「ブツ」だけで撮ろうとすると面白くない。だから(映画の)常識的に撮っていく。で、ベットシーンを除けば普通のドラマになっちゃう。まあベットシーン自体も感情に重みをおいて撮るんですけどね。そうですね、割と人間ドラマですよね。
M:DVの話に戻っちゃうんだけど、どんどん画質も良くなってるし技術的にはかなりのレベルまで行くんじゃないかって思うんですけど。フィルムとDVってどうですか?僕は両方面白いなって思ってて、フィルムはフィルムで絶対残ると思うんですよ。DVは便利でコストが低いから一気に今後広まる可能性はあるなって。
I:単純に選択肢が広がるっていうのはいいですよね。
T:そのDV作品が今の所、一番適している媒体ってwebだと思う。テレビで観ても上映してても、うーんって思う。PCだとすぐ繋げるし、幅広く色んな人が作品を作って発表して行くと思うしね。
M:微妙な所であるよね。まだ劇場でかかるDVものなんかでも、やっぱりニュアンスが違うな、とかね。
I:劇場映画で24Pとかで結構撮れるようになって、コストダウンが図れるようになったら、そっちいく人はそっちいって、フィルムの特性を生かそうと思う人はそっち行ってというね。
M:結局そういう事になっていくのかな。高画質を求めるとお金がかかるってとこですね。
I:同じものだったらどうしてもフィルムを選んじゃいますから。DVの技術もフィルムに近付けようって技術だから。
M:でも気になってるのがDVがあまりにも普及してしまうと、フィルムのクオリティみたいなものていうのも捨てちゃいけないと思うんですよ、そういうものを残しつつ共存していければっていうのが僕の中の考えで、DVはほんとに手軽なんでもっと若い人は、ある意味こだわりを捨ててでも簡単に作れるものであれば作っちゃってもいいと思うんですよ。作品って一つ完成させる事によって次のステップにいけるって事があるじゃないですか。なのでどんどんやって欲しいなっていうのは思っていて、僕は今回作ったといいながらもそれなりに結構年くっているので(笑)そういう意味でも「moment」に関しても今後色々そういうところで協力できたらなと思っているんですよ。だから今回監督として入ったけど、例えばシナリオとか、あるいは助監督とかでもいいし、現場に関れるんであればまた声かけてくれたらなって思っちゃったりしてるんですよ。
T:そういう場は多分、今後いっぱいあると思うから、どんどん楽しんでもらった方がいいかなと思うな。webは小さな媒体だと思われがちだけど、実はワールドワイドであって。今日もある音楽家の人と話していて『サンフランシスコのミュージシャンがmomentのwebムービー観たよ』って聞いて、ああアメリカでも見れてるんだって(笑)割と広がりがあるな凄いって思いつつもね。また違う引いた目が自分にはあって。やってる本人が言うのはあまり良くないのかもしれないけど、どこかの地下室のパーティーというか井戸端会議的みたいに近所の人を呼んで8mm映写機を置いてジーッとみて「いいでしょ、面白いでしょ」っていう感じね。そういう昔の8mmオタク的なね楽しみの場をね。実はそういうのも大切にしていきたい所ではあるんですよ。でもね、一本一本が皆の熱意のこもった作品になっていて、一本ずつ順に流されていって、観てくれる人が徐々に増えていった時に、それがどういう結果を生むかっていう事もまた楽しみであって、意外な形に展開する可能性もあるし、意外な人が観てて意外な楽しみを持ってきてくれる可能性もあって、そういう意味ではひとつのコミュニケーションの形として意義ある事をやってて、みんなが楽しんでて、すごく面白い広場であったりするんだよね。
I:(松尾氏に向かって)ねっ『魔が差してる』でしょ。
一同:(笑)
M:だから面白い(笑)。
T:別に大した事やってないし、小さなひとつのアドレスの「moment website」。
I:でもすごく人は興味持ちますよね「moment」の話とかは。「何やってるの?」「ショートフィルム」「どこでやんの?」「ウェブ」「へ〜、...どっ、どどどうやるの?」って(笑)吃音をいいながら(笑)飲みに行こうかって誘われたりして、隣の町内会の井戸端会議は聞いてみたいみたいで(笑)
M:でも実際コンテンツ的にも充実してるじゃないですか。観た人は今の「moment」のsiteで結構充実したコンテンツを見られると思うのね。だから映画の知識がない人が見ても面白いんじゃないかと思うんですよ。もちろん映画を知っている人が見ても「こんな人の特集やってるよ」とかっていうのがあったりして。
I:面白いと思いますよ。ただひとつ惜しいのは、字がちょっと小さい(笑)。40代からはちょっと読めない。(笑)前にTERAには言ったんだけどね(笑)。
M:拡大モード作ったらいいんじゃないですか(笑)。
T:webには、さまざまな色んな形で充実したsiteが沢山あって、良い情報がたっぷりあるsiteとか、すごいカリスマ的な人物が特集されたsiteとか、「moment」より充実したsiteは、いっぱいある訳じゃない?だから僕が全く「moment」を知らない人で「moment
website」を見た時にほんとに興味を持つかって云ったらそれは未だ100%でない訳で。ある人が観たら内容が充実してるかもしれないけれども、まだまだ引いた目で見て50%位でいる方が自分はいいと思ってるんだよね。これからの広がりの為にもね。
M:面白いと思うけどね。結構充実してるしね。
T:みんなそう言ってくれるんだけど、でもそれって本当に真に受けちゃいけないかなって。
M:それは慎重っていう意味ではいいと思うけど、ネームバリューのあるホームページの立ち上げ方じゃないから、中身が伴って無いとどうしようもないweb
siteになっちゃうんだけど、そこに関して(momentは)安心していいんじゃないかな。
I:でもやっぱりweb siteの一番辛いところと言うか、面白いところでもあるんだけど、どんどん更新していかなくちゃいけない。そこが大変ですよね。
M:それはあるよね。月一回だから。でも今のwebのサイクルでいえば毎日、下手すると一日の中でも変わっていくからね。でもそれはmomentのペースを気に入ってくれた人が立ち寄ってくれたらいいかなって思うんですよ。僕が人にmomentのsiteを紹介すると、「これはいいsiteだ」って言ってくれるんですよ。そういう人も普通のweb
siteも見てるわけですよ。俗に言うエンターテイメント系のweb siteも見てるし、有名人が出てるweb siteも見てるし、『ホっとする』と言う意味でもあるかもしれないし、本物指向って意味もあるかもしれないんだけど、ちゃんとしたものを扱ってるんだっていう意識はあるみたい。それは素直にみんないってますね。だからそういう人が集まってるから勝手ににじみ出てくるんじゃないかと思いますね。
T:web映画を作る上で『どうすれば数多くの人に見てもらえるのか?』っていう課題は今後クリアしていかなければいけないとはいつも思う。
M:インターネットだけの口コミっていうのも面白いと思うけどね。ショートフィルムのsiteを色々探してはみたんだけど「moment」みたいなのはなかったな。こんなに本格的に月一本っていう風にやってるところっていうと。2、3本のアマチュアの人が作ったものを集めてやってるものとかはあるんだけど。
I:あと海外から買ってきたりね。
T:有料が多い。でも多くの場合、お金を出してまで観ない。
M:うん、自分でも観ないと思う。
T:よほど大好きなスターやアイドル、アニメとか、コアなカリスマ性のある人が出てない限り、お金払ったりしないだろうし、音楽・映画等のカルチャーとかが総合的に揃ってても、ある人にとって貴重で新しい情報として引き出せるという様なコンテンツがない限りお金を出してみる人はあまりいないんじゃないかなって。
I:でも「moment」の場合近い将来か、遠い将来かわからないけれども、いずれ課金っていうのが、予算の問題とかで対面せざるをえないというか、いつなるかは知らないですけど(笑)
T:僕は全然考えてないんだけどね。課金にしたくないっていうのもあるし、もっとオープンで、サークル的なものであって、井戸端会議であって、紙芝居的なものであって、集まってきた人が誰でも観れるっていう。
I:そのためにはパーマネントな運動体でなければいけないんだけど、いずれそれをどういう風にまわしていくかっていう資金繰りの問題にぶち当たりますよね。それが課金でなければどういう形をとるのかって問題はいずれにせよ出てくると(笑)
T:当面、半年一年ぐらいは特に考えずに自由な枠の無いところでの作品作りっていうのを心掛けてね。どうしても課金とかスポンサードとか考えると拘束とか枠が出てくる。自然な流れでみんなが集まってパワーを発揮する場でありたいんだよね。
I:momentのショートフィルムが10個、15個集まった時にその数で力を持てますからね。その時にどういう風に企むかっていう事ですね。
T:そういう企みが出来るような作品作りはしていきたいですね。
I:そこが次のターニングポイントにはなりますよね。
T:是非ともみんなの力を借りてという感じです。
M:僕の考える「moment」っていうのは、それが一つのステータスになればいいんじゃないかと思ってるんですよ。初めてから一ヵ月か二ヶ月くらいの間にこれだけの人が集まって、色んなコミュニケーションとったわけじゃないですか。そこから絶対何かが生まれるはずだと僕は思ってて、例えば『ここで出会った人同士が映画を撮った/その時にmomentで知り合ったんだ/momentって何?』って聞かれた時にこういうsiteがあるんだよって、で又その人達が海外でやっていた時に『「moment」でやってたんだよ/何それ?/こういうsiteがあるんだよ』って、それはもう付加価値的なものだよね。
I:『moment細胞』が。
T:昔からね、今言ってた『出会った人が外でも一緒に作業する流れ』っていうのは、昔から僕の楽しみっていうかね。例えばある仕事があって、スタッフの初顔合わせがあるじゃない?それでその仕事を通じて知り合ったスタッフ同士がまた別の違う作品でも交流していくっていうのは、僕的に仕事をやってて一番楽しい出来事だったりする訳で、実は「moment」っていうのも当初それを仕事場じゃない所でやりたかったのが一つの発端なんです。フリーのクリエイターの出会いの場っていうかね。
M:そこに一つのステータスとして「moment」がある。皆「moment」を通過してやってきたじゃないのっていう。僕も一つの通過点として考えていて、ここで色んな人と知り合えたっていう事を大切なポイントとして持っていれば「moment」って生きてくるんじゃないかと思うんです。現実的にはお金の問題もあるとは思うんだけど、それは成りゆきとかもあるでしょ。半年経ったら、ぶっちゃけ無くなってるかもしれないじゃない。
T:そうだね...。あっ「そうだね」って言っちゃった(笑)。
一同:(笑)
-END-
(c)2002 Dolphin Rocket Pictures
松尾博司監督作品
『メモロイ』
監督 ................ 松尾博司
脚本 ................ 大吉
撮影 ................ 武藤奈緒美
音楽 ................ ありまゆみ
出演 ................ 田中信広 小林祐子 他
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(c)1996 日活
伊藤正治監督作品
『軽井沢夫人 官能の夜想曲』
製作 ................ 井狼達也
監督 ................ 伊藤正治
脚本 ................ 高橋洋
撮影 ................ 村石直人
出演 ................ 真邑村ケイ 鶴見辰吾 他