こうやって「VON HALEN」を続けてやっている事は、やはり「なりたかった」んでしょうね。オリジナルで。自分で先にやりたかったんじゃないのかな?それぐらいやっぱ好きなんでしょうね。うん。
TERA(T):それでは宜しくお願いします。まず、音楽を始められたきっかけを教えて下さい。
OSADA(K):はい、きっかけはですね。最初は。親父が持っていたガットギターが、親父の部屋に転がっていて、それをこう「ちょっと弾いてみたいかな?」と思ったのが、きっかけなんですけど。ただ当時、結構、小椋佳とか布施明さんが好きで。『シクラメンのかほり』とかを、『一週間で貴方も弾けるギター教則本』とか買ってきて、やったんですけど。Fが弾けなかったんですよね。一週間経っても。「何だよ、一週間経っても指が痛くなるだけじゃねえかよ」と思って、「あっ、俺にはギターの才能はないな」と思って。当時『8時だよ!全員集合!』のエンディングテーマ、あそこでね、ど真ん中でね、ドラムの人がガーっとおかず回すのを観て。「こっちの方が、かっこいいじゃねー、俺には、こっちの方だったら出来るんじゃないか?と思って、ドラムをやったっていうのが、最初ですかね。
T:そこから、ギターに移っていく経緯は何だったんですか?
K
:ギターに移っていく経緯はですね。その後、1回挫折したのが、小学校6年かな?で、半年か1年したら、TVの『銀座NOW』で、Charさんが出ていて。で、やっぱりかっこよかったんですよ。子供心ながら「何かかっこいいなあ」って。まあでも、自分はギターは「俺には不向きな楽器だ、あんな同じ音が色んな弦のところで、いっぱいあるのはギターしかない」と。でも、僕は「ギターはかっこいいな」とは思っていたんですよね。で、その後、また半年ぐらいして、当時まあ、野球小僧だったんですけど。市のブラスバンドみたいのにも参加していて、パーカッションみたいのをやらせてもらっていたんですけど、そこで先輩が、エレキギターを持って来ていたんですよ。そしたら、ここでこうギターを弾いているのに、何かこう、2,3m離れたアンプがあって、ここで弾いているのに、あっちの方から音が聴こえるっていうのは「何か手品みているみたいでかっこいいなあ」と思って、先輩に「ちょっと触らせてもらってもいいですか?」って。そして触ってみて、Fのカッコしてピョンとやったら、音が出るんですよ。「あっ、俺にも出るじゃん。これだったら!」って。お年玉をためて、ギターを買いに行きましたね。2,3ヶ月後、その年の正月明けて、やっと。何だろう?ヤマハのレスポールの形のものかな?ギターを買って、弾きだしたっていうのが、経緯ですかね。
T:その後、バンドを組んだりとかはしたんですか?
K:えーまあ、どうしても野球で、結構マジに『巨人の星』を目指していたので、毎日野球漬けだったんですけど。何ていうのかな?文化祭じゃないですけど、その時ちょっとギターで歌ったりとか、そんな事をやりつつ、後は『卒業生を送る会』みたいな時に、参加したりしたんですけど、まあ大体ドラムの方で参加していましたよね。Charの『気絶するほど悩ましい』、あれをこう、当時で自分では「耳コピをしたんだ俺は!」みたいなね。それで友達を呼んで、聴かせたら、「それ、宇宙戦艦ヤマトのテーマみたいだよ」って言われて。「やっぱ俺にはギターの才能ないのかな?」なんて思いつつ、ドラムもギターも、触る程度でしたね。その頃は。でまあ、高校行って、野球に挫折してからかな?ぶらぶらしてて、周りにバンドをやってる連中といっぱい友達になって、えー結構、音楽の方を当時だから、単に楽しい楽しいだけで。ドラムのバンド1個と、ギターのバンド1個やっていたんですけど。まあでも、振り返るとな。あの頃毎日ね、ドラムやったり、ギターやったり、で。あの辺から、大分少しはまともな様な感じで、音楽に携わるようになったのかな?
T:仕事としては?
K:仕事として、はじめて弾いたのは?いつぐらいだろう?21,2ぐらいの時かな?何かあの、まあそんなに歌、上手くなかったけど。何かどこかの事務所の女性ボーカルのバックで、ギターを弾いたのがはじめてかな?仕事としては。文化祭とかね。回ったんですけどね。文化祭に行くと当時、久保田利伸さんらがね。ガーと売れてきていて、向こうはもう金もかけてて、ゴージャスで、いいステージでね。こっちはお金も無いし、しょぼーくね(笑)。まあその辺が最初でしたね。
T:仕事をしながら、自分のオリジナルとかは?
K:オリジナルはもう、18,9の時ぐらいから、一生懸命やってましたね。箸にも棒にも引っ掛からずに。もうさんざん腹やってましたね。オリジナルのバンドはオリジナルのバンドで。まあ仕事というシチュエーションのものもやりつつ、結構、僕はめげずに、オリジナルもやっていましたね。
T:トリビュートをやられるまでの流れを教えて下さい。
K:もともとは、だから、えーライブハウスで。というか「カバーデーみたいなイベントをやろうよ」っていった時に、じゃあちょっと「バンヘイレン、やろうかな?好きだったし」みたいな感じでやったのがキッカケで。まあ、その時は単発で1年に1回くらい?まあ、そういう単発イベントを打つっていう時に、またやって。で、その時のメンバーが、今も『VON
HALEN』でやっているメンバーの母体というか。ドラムも1回辞めたけど、また戻ったから、同じメンバーですね。そのメンバーでやりだしてから、結構、真面目にっていうと変ですけどね。うちはお笑いバンドだし、不真面目なんだか、真面目なんだか、「どこまで真剣なの?お前ら?」って感じるんですけど。そこからですね。。
T:オリジナルとトリビュートをやる時の、KANAさんの中にバランスみたいなものはありますか?
K:いや、でも。何だろう?うちのバンドは、まあ全員個々に色々な思いの中でやっていると思うんで、何とも言えないところがあるんですけど。僕の中では、ま、『VON
HALEN』は『VON HALEN』。自分の。あの何て言うんだろう?要するに、トリビュートバンドの『VON HALEN』の活動とは、何かこう1つ、自分の中にあるんですけど。また違う所には、違う自分の音楽が絶対的にあるんで。うん。
T:KANAさんにとって、トリビュート音楽の楽しみ方って何?
K:はい。『VON HALEN』、いわゆるバンヘイレンの楽曲。僕らの場合は、バンヘイレンの楽曲を素材にして『VON HALEN』のメンバーが集まった時に、まあ自分達が、そう楽しめるか、それがお客さんに、そう伝わるのかって所の面白みでやっているって感じなんですよ。僕らの場合は。簡単に言っちゃえば、バンヘイレンの楽曲っていう素材があるっていうのと、その『VON
HALEN』じゃない場合っていうのは、その、ね。楽曲が自分で書いた曲であり、人が書いた曲であり、そういうところの違いなのかな?うん。まあでも、どういうシチュエーションで、個人的にギター弾こうが、自分が楽しめるか、楽しめてないかっていう所が、凄く自分にとっては重要なポイントであって。だから、もしかしたら、「VON
HALEN」っていうのも、今の4人でやっているから、面白いだけであって。ね。違うメンバーで、バンヘイレンの楽曲をやって楽しめるかっていったら、やっぱ疑問符出るだろうし。でも、ただ単に『VON
HALEN』に関しては、もう自分がやってて楽しいからやってるだけですね。
T:KANAさんが、その音楽の中で、表現したい事やお客さんに伝えたい事って何ですか?
K:トリビュートバンドとしての姿勢として、いいのか悪いのか、わからないんですけど。ステージでバンヘイレンの楽曲を使った上での僕の表現が、はっきり言っちゃえば、「皆、楽しい?楽しくない?」っていう問いかけのニュアンスの方が強いのかな?やっぱりバンヘイレン大好きだし、大好きなギタリスト3人の中の1人で、好きでやっぱ『VON
HALEN』で活動する以上、やっぱ良く聴いて、コピーも最低限する訳であって。そういう点では、あの意識しなくても、どっかで、いわゆる完全コピーみたいなニュアンスで、聴けちゃう部分も、多々出ていると思うんですけど。何だろう?所詮は本人でないので、そこを追求していったら「だったら、本人観ればいいじゃん」みたいな所も出ちゃうんで。バンヘイレンの場合、今、ボーカル問題で何やら活動が止まっている状態だけども、まだ生きてますし。ただまあ僕なりのやっぱバンヘ
イレンっていう、好きなバンドをやる時に、僕は『VON HALEN』やってて、こう、感じて、楽しんで、演ってるんだよ!」っていう感じですよね。本当、だから、
何かね。「バンヘイレンのギターはこうだ!」とかじゃなくて、バンヘイレンというギタリストとしても、やっぱ好きだし、バンドとして好きなバンドなんで、そのバンドを自分達で演奏する時に、ね、やっぱ好きだから、同じ様に何回も聴くし、弾いているし、同じような風に見えるような所もあるだろうし。でも自分だから自分ならではの表現になっている所も凄いいっぱいあると思うし。それを引っ括めた所で「あの、皆で楽しもうよ!」と思うし。っていう感じですかね。
T:KANAさんの周りでは、沢山のトリビュートバンドが活動していると思いますが、そのトリビュートという括りの中で、自分のバンドの『VON
HALEN』というバンドでの、あり方の違いはありますか?
K:うーん。いわゆるトリビュートバンド。コピーバンド。色々な呼び方の表現があると思うんですけど、完璧に再現を目指している人もいれば、いわゆる生きているアーティストなんかのトリビュートアルバム、プロの人がプロのトリビュートをしたりする「僕はあの人のこの曲が好きで、でもこういう解釈で、その思いを表現しました」っていう、やっぱ二通りあると思うんです。基本的には。で、別に「完全カバーだから、それまでよ」とか、そういう事では全然なくて。やっぱりその人の表現の違いだと思うんです。うちの場合は、結構まあ、あのバンヘイレンの完璧なる再現を期待して観に来てくれた人からすれば、怒られる時もあるんですよ。本当にお笑い的な要素が多くて。「それは本物を冒涜しているだろう!」とか言われた事あったし。それをいわれちゃったら本当に、うちはそんなスタイルではないので「ごめんなさい!趣味に合わなかったのね」っていうか、謝るしかないんですけど。ただ別に冒涜している気もないし、皆、四人それぞれのメンバーも好きだからやっている訳であって。その表現の違い?もうその先は観る側の趣味なので。で、まあ「趣味に合わなかったらごめんなさい。じゃあ、もう関わらないで」という感じでやらせてもらっているんですけど。ただ周りにいる人達とか見ても、やっぱね、どっちかといったら、やっぱ完璧再現を目指してやっている人もね。あの「よくあそこまで、あのバンドを再現するなあ」っていう人もいるし、またそこから一歩進んで、自分達の解釈で「オー、なるほどー。はいはい」という感じのね、表現をされている方もいるんで。結構、何ていうんだろう?今、とても面白いですよね。他のバンドを見てても。うん。で、やっぱ、色んな愛情表現があるので、「凄げーな」って思いますけどね。周りを見ていると。だから本当にうちね、お笑いで「もうちょっと真面目にやろうか?」みたいなね。バンドの中では、そういったりするんですけど。でも何か僕らは僕らの何か表現方法があーいう感じなので、僕らのペースでやらせてもらっていますけど。
T:KANAさんがやはり、あえてバンヘイレンを選んで続けているって事は、かなりの愛情があるって事なのでしょうね。
K:うん。やっぱ何だかんだ言って、何だろう?まあ世代もね。10とちょっとぐらい違うんだろうけど。まああれだけやっぱ自分の、こうやって『VON
HALEN』を続けてやっている事は、やはり「なりたかった」んでしょうね。オリジナルで。自分で先にやりたかったんじゃないのかな?それぐらいやっぱ好きなんでしょうね。うん。それは、感じますね。はい。
T:話が変わりますが。今回、ショートフィルム『ROCK WILL NEVER DIE?』に出演されたんですが、どうでしたか?
K:撮影の時はね。もう一生懸命でしたよ。本当に。結構、何だろう。「どうしようかな?」「こうかな?」「ああかな?」とかね。あんまり寝ていない状態で、撮影に向かったりして。うん。凄い緊張もしたし。でも、やっぱ楽しかったですね。凄い面白い空気感を味わせてもらえたんで。はい。
T:完成したフィルムを観て、どう思いました?
K:まだ、1,2回、ポンポンと観ただけだけど、何か気恥ずかしい感じはしますね。うーん何か嬉しいような恥ずかしいような、ね。。
T:今後、何かやってみたい事とかありますか?
K:いやー、何かね、1回こっきりであれなんですけどね。昔から、映画とか演技の世界ってね、凄く興味は持っていたんですよ。音楽の世界である程度自分なりに、あの、自分の中でのね、区切りのハードルをいったら、真剣に勉強して、やってみたいっていう思いがありながら、ずーとずるずる音楽でなかなかけじめが付けられずにね。でもやっぱ今回ね、こんな事からこういう風に出演させてもらって。結構、魅力ある世界ですね。ま、自分が演技するとか、映像を作るとか、とってもあのまた、こうグググっと揺らされている所がありますね。もういろんなものに興味を持つタイプなんで。機会があったらまた参加出来るものが来ないかな?と思っています。
T:是非また機会があれば、宜しくお願いします。ありがとうございました。
K:はい、ありがとうございました。
ラストは『今、KANAさんにとってギターとは?』を伺ってみました。これはムービーで本人の言葉を聴いて下さい。 |