magazine: くまやの洞


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"music"で紹介したPoetic Physical Domain。ボーカルのnanacoこと佐藤奈々子は写真家としても優れた作品を数多く発表している。このコーナーでは、nanacoがインスパイアされた沖縄・伊平屋島の写真と、そこでできた曲「くまやの洞」の詩をFLASHムービーで紹介します。

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KEN's Books Review
"moment"KENが短い人生経験の中から、個人的な思い入れを交えつつ、漫画、小説、雑誌などなど「誰かに教えたい!」と思う"本"を毎号、紹介していきます。
悪童日記

アゴタ・クリストフ
訳者:堀茂樹
版元:講談社
発行:1991年1月
価格:1,553円
『僕らは彼女を「おばあちゃん」と呼ぶ。人々は、彼女を"魔女"と呼ぶ。彼女は、僕らを「牝犬の子」と呼ぶ。』

戦争で食うに困った母親に、母親自身も十数年ぶりに会う<小さな町>に住む「おばあちゃん」のもとに双子の兄弟が引取られるところから物語は始まる。主人公の兄弟二人は、おばあちゃんの家の屋根裏小屋で、お互いに主題を出し合い作文し、"真実"のみを書くことが許された<大きな帳面>に記述していく。そこでは「おばあちゃんは魔女に似ている」と書くことは禁じられている。しかし、「おばあちゃんは"魔女"と呼ばれている」と書くことは許されている。『感情を定義する言葉の使用は避け、事実の忠実な描写だけにとどめる。』と自らに課した<大きな帳面>が物語を語る。
彼等自身の<非行>と、彼等"恐るべき子供たち"が目撃した死、安楽死、性行為、戦争、占領、民族差別などの重いテーマが"ぼくら"を主語にした機械的な文体で描かれるのだが、そのストーリー展開の面白さと、衝撃的なラストシーンに読後、爽快感を覚える人も多いはず。

高校生の時、『ダ・ヴィンチ』の書評コーナーで鈴木蘭々が勧めていたのをみて買った。今でもよく人に薦める一冊。続編に『ふたりの証拠』『第三の嘘』があり三部作としても読める。『ふたりの証拠』は読んだが本作の印象が強かったためか、あまり面白くなかった。『悪童日記』は自信を持ってお薦めするので興味がある方は是非読んでみて下さい!
TERA's Soundtrack Review
このコーナーでは毎月1枚、映画のサントラを作品と共に紹介します。
BLOW OUT
邦題:ミッドナイトクロス

音楽:ピノ・ドナジオ
1981年・米・ブライアン・デ・パルマ監督作品。ジョン・トラボルタ、ナンシー・アレン主演。
映画のあらすじは、トラボルタ演じるB級映画の録音技師のJACKが、ある夜、B級映画の効果音を湖の近くで集音していたところ、銃声らしき音と共に、一台の車が湖に落下。その中からナンシーアレン演じる1人の女性SALLYを救出する。しかし、その事故には、政治がらみの陰謀があった。その後二人は、運命的にその事件に巻き込まれてゆく。といった感じで進行して行く映画である。

冒頭、二人が病院ではじめて会話をするシーンにはじめて流されるこの映画のメインテーマは、映画中、何度もアレンジを施され印象的に流されてゆく。そのメロディが最後に展開される二人の運命を予期していて、悲しく切なく、実に甘美なメロディなのである。

音楽のピノ・ドナジオは、この作品以外にも監督のデパルマとは、『殺しのドレス』『キャリー』などでタッグを組んでいるが、(ヒッチコックとバーナードハーマンのコンビな感じ?)そのタッグ作品数本の中でも『ミッドナイトクロス』の「JACK AND SALLY」の美しいメロディは群を抜いている。
またこのサントラにある、以外のサスペンス調の曲達も、超スタンダードなこのB級?娯楽サスペンスを盛り上げていく。
そしてラストの花火シーンは、何度観ても初めての感動を呼び覚ます。まだ観ていない方はDVDで是非一度チェックして欲しい映画でもある。

実は今回紹介したこのサントラは未だにCDでは公に発売されていない盤で、去年アメリカで2500枚のみ限定発売されたリミテッドCDである。渋谷の「すみや」やネットなどで手に入れる事が出来るかも知れない。