#50記念対談:nanaco(佐藤奈々子)×KanaT

 今年5周年を迎えたmoment。web site #50記念として今回は、デビュー30周年を迎えフォトカメラマンとして大活躍中の、
 nanaco(佐藤奈々子)と、KanaTの初対談です。

(2007年1月22日/momentにて)

 
 #50記念対談:nanaco(佐藤奈々子)×KanaT

TERA:では、よろしくお願いいたします。

nanaco(以下:N): こんにちは。

KanaT(以下:K):初めまして。


N:初めまして。

K:初めてなので、何、話して良いか解らないです。

TERA:はじめてなので、二人の共通の話題は少ないのですが、KanaTさんは、ライブでnanacoさんの歌を歌われているみたいですけど、その辺の話をまず。

K:えっと、「ピロートーク・レビュー」という曲を歌わせてもらって。


N:あー、本当ですか。


K:はい。

N:あれって私が作った曲?


K:えっと?曲自体は?違う、佐野さん。

N:佐野君が私と一緒に作った歌ね。


K:詩は、nanacoさんですよね。

N:あっ、そうですか。懐かしい。30年前?(笑)凄いね。30年前の音楽を聞いて、それで「好き!」と、思って歌ってるの?

K:そうですね。うーん、何ていうんだろう。あのアルバム自体が30年前のものなんですけど。(笑)すいません。今、聞いても全然、聴ける曲で。今の打ち込みとかも好きで、割と色々聴くんですけど、そういうのともまた、全然違く。シンプルに「好きだなぁ」と思って。あの曲は詩が凄い好きで。うん。なんだろ、結構、若い女のコ、じゃないですけど、女の人の詩だな、と思って、年齢的に「良いかなぁ?」と思って。

N:なるほどね。それは嬉しい事ですよね。


K:あと、もう一曲は、「By The crack of doom」。あれは本当に詩が初めに歌うのに躊躇した曲で。

N:ふーん。歌ってみたいと思って?

K:そうですね。でも、何か詩の内容が凄い難しい、というか、重いっていうか。

N:そうですね。

K:そう。何か、「ちゃんと歌えるかな?」と心配しつつ歌いました。

N:重いといえば重いけど、その、歌う時の気持ちによってさまざまね。状況としては、いつかお墓参りをしたかった訳で。そういいつか約束の花を「持って行くからね」みたいな曲なの。良い曲だもんね!あの曲ね!


K:はい、良い曲ですね。あのアルバムの中で1番、好きな曲です。


N:あら、そう!それは良かった!


T:話は変わるんですけど、2人共、意外なところで、小さい頃は運動系だったという。その辺の話を。


K:クラシックバレエをずっとやってて。

N:何時まで?

K:中学校2年生ぐらいで1回止めちゃったんですけど、一応1年休んでたんですけど、3歳から高校2年の初めくらいまでやってました。

N:私も3歳からクラシックバレエで高校までやって。だけどそれは好きでやってたの?習いたくて?最初は?

K:最初は、3歳の頃は、親が仕事をしていて。

N:バレエの?

K:いや、別の。保母さんなんですけど。していて。その仕事をしてる間に。スイミングスクールとかはお母さんが一緒じゃないと駄目だから、1人で習える所でって入ったのがきっかけになって。

N:そう。好きだったの?

K:踊るのは好きだったです。


N:私は、器械体操のオリンピックの選手になるっていう事が、ちっちゃい頃から言われて、自分はそうになるもんだと思って。
それは私の叔母がね、自分がオリンピックに行ったけど、試合の前日にアキレス腱を切っちゃって、出れなくなって、その体操の夢を私に託したの。で、その、体操やる人はバレエをやって動きを身に付ける、って言うのがあって、3歳の頃からバレエをやって、家の中でもワーって、布団敷いて、逆立ちとか、でんぐり返りだとか、そういう練習をやりつつ。その、オリンピックの選手になる為にバレエをって感じだったの。私はバレエ、大好きだった。


K:そうなんですか。

N:ピアノも習って、お家にピアノの先生が来て。だけど、その先生が恐かったの。お家の人が見てない時に「何でできないの!」ピッて、こう、手を叩く「なんで、私、打たれなきゃいけないんだろう!」みたいな感じで、そんなの嫌だから。で、バレエは凄い好きだったから、習いたかったし、行くの楽しかったし、凄い素敵な先生であったし、バレエはずっとやっていたかっての。だけど、体操をやる為に何時までもバレエの動きだと駄目なの。途中で止めちゃなきゃいけなかった。その時は残念だったけど。だけど何か週刊誌にね「天才少女、現る!」みたいに出たの!私!そういう人に夢にも見えないわね。何を踊ったの?発表会とかは毎年?

K:そうですね。割とプロの子が行ってる所で、モスクワとかにも行って習って。


N:行ったの?凄い!本格的。今も出来る?


K:今はもう、体硬くって出来ないですよね。


N:やっぱり、ああいうものは続けないとね。私ももう、ギコギコの棒の様に硬くなって。やってた時はねぇ、蛸の様に柔らかかったのにね。


T:また話題を少し変えて。KanaTさんをライブでサポートしているミュージシャンに、多分、nanacoさんの共通の友人関係があると思いますが。その辺の話題を。

N:誰とやってるの?

K:ベースの小野田(清文)さんとよくやっていて。(西本)明さんは最近、一緒じゃないけど、明さんとか。

N:小野田君と?やってるの?私、小野田君は昔から知ってて、私、カメラマンになる時に、私、楽器弾けないのに、良いエレキベースを持ってて。あのリッケンバッカーの。で、お家に飾っとくみたいな感じで。で、お家にあるベースを小野田君が「売ってくれ」ってなって、カメラ屋さんの前でベース持ってて、お金貰って、カメラ買ったの。取り替えっこした様な物だよね。楽しい?小野田君とやって。

K:うーんと。演奏の時は少し恐いですよね、小野田さん。

N:えっ!恐いの?何で?

K:無口になるから。でも、飲んでる時は好きです。


N:へぇー。そう。懐かしいです。30年前?そう。


K:明さんとかって、一緒には?

N:明君は、佐野君がやってたから知ってたけども。でも、一緒にっていうのはmomentのライブの時に一緒に。ちょっとだけ、っていうぐらいで、明さんと全く2人で何かって事は無い。楽しい?明君と?


K:そうですね。楽しいですね。


N:面白い?

K:面白くはないです。けど、何ていうんですかね。でも、フィーリング的には「合ってるかなぁ?」と。明さんの演奏は揺ったりじゃないですか、自分的には勢い良くこられると躊躇するんで。あの揺ったりした感じは合ってる。

N:素敵なピアノ弾くよね。本当ね。そう。でも、香名ちゃんは、何?元々、歌ってたの?


K:元々は歌とかは歌ってなくて。

N:何時から。どういうきっかけで?

K:元々は、詩とかを書くのが結構好きで。ギターの人とかに曲を貰って書いてたりって事はしてたんですけど、本格的にとかいう事ではなくて。で、自分の歌だから歌える様にと思ってボイストレーニングに少しだけ通っていて。


N:今も?

K:今はもう、止めてますけど。momentのショートフィルムの制作をしてる過程で、皆にその主題歌見たいなのを歌わないか?みたいなのがきっかけで歌い出したので、2年ぐらいですね、ちゃんと歌い出したのは。

N:それでも自分で歌いたいと思って、ボイストレーニングにも行ってたんだ。

K:そうですね。ボイストレーニングは歌いたいっていうよりも、自分の詩を上手く表現できる他の人が見つからなくて、じゃあ、自分で歌える様にと思ったんですね。何かきっかけがあれば、と思って。

N:そう。成る程ね。

T:次の話題としては、歌以外の表現、写真と絵という事で、nanacoさんはプロのカメラマンとして活躍していると思うんですけど。で、KanaTさんも絵は昔から書いているらしく。

N:えっ、どんな絵を書くの?


K:元々は、学校で日本画を習っていて。


N:あら、すてき。


K:でも、今回は日本画じゃなくて、反戦的な感情が結構あって。暫く、絵を描くのを止めていたんですね。でも、反戦っていっても「戦争反対!!」みたいなのじゃなくて、もうちょっと心の奥の中にある様な何か、今、音楽をやっているので、その中でコラボレーションできたらなと思って、それで又、最近、絵を描き始めて。

N:ここにある?ない今?


K:途中までのが。しかもまだ、ガラスみたいなアクリル版に。これちょっと大きいんですけど。これをアクリル版に写してステンドグラスみたいにしようと思ってて。全然途中なんですけど。下書きで申し訳ないんですけど。今、5つモチーフを創っていて。

N:わぁ、凄いゲルニカみたい。わぁ、凄いねぇ。素晴らしいじゃない。

K:こう、5つに詩をつけて音楽をつけようと思っているんです。


N:この中に5つの場面が入ってる訳ね。

K:そうですね。この5つの場面にあった詩と曲を今付けて、その、1個1個は反戦的なものじゃ無いかも知れないんですけど、通してずっと聴くとそのテーマが反戦っていう、そういうCDを今、「作りたいなぁ」と、思っていて。この絵も今描いている5つのモチーフが纏ったものが、反戦っていう絵が「出来たらなぁ」と思ってます。


N:え、でも、これで纏ってるじやないの。ここに入ってる事じゃないの?

K:はい。

N:此処の、こういう場面とか、こういう場面を切り抜いた物が5つって事なんでしょ?凄い!どうしてこういう日本の人では無い、こういう姿が見えてるの?自分の中でこういう姿が見えてるの?


K:初めに反戦のイメージが出来た時に、絵的にこの5つのモチーフが。

N:見えてたの?

K:はい。まず、見えていて。なので、曲をつける時にサントラ的に作る方が面白いと思って。先に「絵を描こう!」って。先に絵が出てきたので「描こう!」って決めて。その、宗教的な意味合いも出したくて、ちょっとこういうステンドグラス的なお伽噺っていうか。そんなモチーフの絵が良いなと思って。


N:ここを何か描くの?

K:ここの後ろに月か太陽かどっちかを描こうと。太陽かな?

N:太陽でしょ。凄い。これ、ああ!素晴らしい!これ!何で?これにまだ何かするの?

K:これに後、色を付けて。私の中では、硝子のイメージがあって、絵を硝子の様な物にもう一回写して、色を付けようかと思っているんです。太陽とか大きめの素材を付け足して。まだ、構図がいまいち纏ってない。

N:え、纏ってるよー。でも、何でこういう、ここに画かれている人達が、西洋の人達の姿が目に浮かぶの?この建物とか。まるで、こう、イスタンブールの様なギリシャの様な、こう、モスクの様なそういう世界が目に浮かぶの?

K:そうですね、和とか日本っていうイメージじゃなかったんですよね。


N:きっと、それは遠い遠い昔に旅をした事のある風景を見ているんでしょうね。そう。ピカソの”ゲルニカ”って見た事ある?


K:はい。あります。

N:。素晴らしいね。音が聞こえる。今日、良かったー。この絵を見せてもらえて凄く嬉しい。ここに凄く、音楽聞こえる。。そう。凄い!何かこれ、色付けなくても良いんじゃないの?

K:んー、そうですね。無彩色っぽい方が良いかもしれませんね。


N:色は別な方法で、イメージの中で違う方法でつけれる様な気がする。これ、movieにしたら良いと思う。反戦っていう言葉では無い、何かもっとこう、何だろう。違うイメージだと思うのね。例えばその「戦争反対!」という事で、反戦って言う言葉でいっている事よりかも、もっと、記憶の中で辿っていける、人間1人1人が持っている天使なものと悪魔の部分があって、そういう物が鬩ぎあっていて。それが世界の全体って感じる。これ、movieにして見れたら奇麗でしょうね。素晴らしいね。絵、たくさん描いたら良いよ。


K:(笑)。

N:そう。(拍手)素晴らしいわ!私、こういうの見るとすぐ写真撮りたくなるの。曼陀羅と同じ様に自分の見えてるものがたくさんあるから。また、写真に撮ると違う伝わり方になるでしょ?これが何か動いて見えて、これがどういう風になっていくのかワクワクしちゃうの。素晴らしいね。本当に。お家に持って帰って、貸してもらって持って帰りたいぐらい!絵が描けるなんて素敵よねぇ。本当に。いやー、ワクワクします。これ見てるだけで。香名ちゃんは、これから、光そのものを、もっと光に溢れて喜びに満ちている世界を、描いてほしい。大切な光の世界の絵と音楽を一緒に届けられる気がする。それが今、私達に大切なもの。今、こういう世界の中で、どういう風にすればラブだったりピースだったりする世界になるのを画けたら素晴らしい。それが描けたら素晴らしいと思う。

K:有難うございます。


end>


次回は、音楽イベント「ミューズの恋人」特集にて、「nanaco最新インタビュー」をお届け致します!お楽しみに!