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momentが注目したカルチャーやイベント情報、コラム等掲載のNEWS MAGAZINEです。

#29 contents

CLIP:「鈴木雄大・最新ビデオクリップ『飛び方を忘れた小さな鳥』」
CLIP:「『月刊ピカソ vol.1』/辻畑鉄也インタビュー1」
GALLERY:「安斎肇個展2005」(東京/原宿LAPNET SHIP)
LIVE:05.05.14/「長田進・ソロライブ」(東京/下北沢440)

連載コラム:TERA'S SOUNDTRACK REVIEW 「#29/死亡遊戯」
連載小説:「タマユラの宵・第四話」/蒼泉 光



 「鈴木雄大・最新ビデオクリップ『飛び方を忘れた小さな鳥』」

鈴木雄大さん、待望のニューアルバム『HEART MUSIUM/雄大ベスト』が、
5月25日に、リリースされました。
そのアルバムからの代表曲で、MISIAに提供したセルフカバー曲で、
すでにご存知の方も多い、「飛び方を忘れた小さな鳥」。
今回は、momentで製作したPVを特別配信いたします。
お時間ある時に是非お楽しみ下さい!
鈴木雄大さんの詳しいインフォメーションに関しましては、
鈴木雄大オフィシャルHP(http://www.yudaisuzuki.com/)まで。

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(BB環境のある場所にて、お楽しみ下さい)



 「『月刊ピカソ vol.1』/辻畑鉄也インタビュー1」


今月から、しばらくの間、『月刊ピカソ』と題して、
このコーナーで、ピカソ特番を配信します。
今年夏に、ニューマキシリリース、8月7日のイベント開催など、
活動さかんなPICASSOであります。
メインボーカルでリーダーの辻畑鉄也さんのインタビューその1を
今回は、お届け致します。
何が飛び出すのかは、観てのお楽しみです!

PICASSOの更に詳しいインフォメーションに関しましては、
PICASSOオフィシャルHP(http://www.pro-picasso.com/)まで。


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配信終了
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(BB環境のある場所にて、お楽しみ下さい)



 「安斎肇個展2005」(東京/原宿LAPNET SHIP)


先日の「moment jam session#4」で、The Chokobabyzとして、
パワーある演奏を、魅せてくれた安斎肇さん。その安斎さんの個展が
開催されています。
題して、「LOVE。Tee-Q EXPO/愛。ティQ博ー90枚のTシャツ展ー」です!
期間中、原宿辺りにお出かけの方は、是非、お立ち寄り下さい。

日時:5月11日(Wed)から5月29日(Sun)
時間:11:00am〜9:00pm
場所:原宿LAPNET SHIP 03-5411-3330
(東京都渋谷区神宮前1-8-10 FORET HARAJUKU 4F)



 05.05.14/「長田進・ソロライブ」(東京/下北沢440)


現在、精力的にソロ活動を続けている、ギタリスト長田 進さんの
下北沢440でのソロライブ。
今年は、特別ユニットでのライブ活動や浜田省吾とのレコーディング&
ライブツアー参加等、とても忙しい年になりそう。
その中でも力を入れている、ソロ活動に注目!
ライブ後のインタビューを後日、配信いたします!どうぞお楽しみに!

ライブの詳しいインフォメーションに関しましては、
下北沢440/HP(http://www.club251.co.jp/440/)まで。


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連載  from TERA

TERA's Soundtrack Review このコーナーでは毎月1枚、映画のサントラを作品と共に紹介します。

#29
『死亡遊戯』

音楽:ジョン・バリー/ John Barry
1978年/香港+英/ロバート・クローズ(&ブルース・リー)監督作品。1時間30分。
ブルース・リー主演。レイモンド・チョウ製作。
ギグ・ヤング、ヒュー・オブライエン、コリン・キャンプ他共演。
映画は、賛否両論というか、あまり評価は得られない作品であるが、
最後のブルース・リー映画という事になると、これは大変な映画なのである。
(実際は「燃えよドラゴン」の前の撮影だが)
今の時代も何かと話題に事欠かない映画であり、
ある意味で映画史に残る一遍である事は間違いない。

サントラを手がけたのは、巨匠ジョン・バリー。
このコーナーでも何度も取り上げている映画音楽界に
なくてはならない存在である。
このサントラは正規盤というものではなく、
同じバリー作品の「Night Games」とカップリング。
映画自体ラストの約13分以外は、リー亡き後の企画映画の為、
判断材料が微妙ではあるが、バリー作品としては、なかなか素晴らしい
出来のサントラ音楽であると思う。



まず、M-1は「MAIN TITLE」で、とにかくカッコいいファイティング・ミュージック。
M-2の「WILL THIS BE THE SONG I'LL BE SINGING TOMMORROW」は、M-9のインストで、美しいバラッドである。
M-9の歌バージョンではコリン・キャンプの歌も聴ける。
サントラの中盤は企画ものの部分で、リーの部分とはあまり関係ないシーンの楽曲。
M-10「GAME OF DEATH-END TITLE」からM-11の「STICK FIGHT/MAIN TITLE(Reprise)」は、このアルバムの一番の
聞きどころでもあり、かなり映画の興奮を再現してくれる。
この映画の評価でも、やはりラストのリー本人の格闘シーンの評価は高く、ほぼ全編にわたる企画部分の代役シーンなどは、
かなり厳しいものがある。

後に、日本のスタッフにより発掘された素材を再編して出来上がった「死亡的遊戯」は、
ファンの熱望したNGカットをふんだんに盛り込み、充実した映画になっている。
この作品も合わせて、沢山あるリーの最後の作品のひとつとして、一度、観て欲しいと思う。

このCDは輸入盤のみ。DVDは「死亡的遊戯」と共に店頭に並んでいます。
お時間ある時に是非!

連載  from 蒼泉 光

連載小説:「タマユラの宵/第四話/赤い夜 "Red Night"」 蒼泉 光


「眩し過ぎる空に投げ出された、私は生ける屍。拾い集めし夢の残骸。 
  タマユラの宵を纏い、貴方亡きこの世界を彷徨う。A.M」


 <タマユラの宵/第四話/赤い夜 "Red Night">


赤ワインにマリファナを下さい
何処までも堕ちて 愛しいあの人を探すわ
さあ その帯で目を覆ったら
抱いて 繋いで 私を
夜が朝に替わるまで


 夕べのことはあまり覚えていない。正確に言えば、思い出しても仕方ない。夕方、数ヶ月前に友人を介して知り合った会社を2つほど経営している男から電話があり、食事に誘われた。
くだらない。本当の目的は初めから明確なのに、まず食事をして、そしてバーで飲んで、それから・・・。そんなステップを踏んだところで、2人の間には何も生まれない。時間と気力、体力の浪費以外の何物でもない。
「私、夜用事あるから直接部屋でいいですよ。」
一瞬の沈黙の後男は言った。
「そう?食事でもと思ったんだけどね。それじゃタクシー乗って気をつけておいで。もしお腹が空いてたら、ラウンジが確か0時・・・」
声の調子から受話器越しに男の顔がニヤついてるのがわかる。私は無意味な電話を一刻も早く終わらせたくて、男の話を遮って言った。
「ルームナンバーは?」
「え?ああ、ええっと・・・3305だね。」
「それじゃ23:00に。じゃ。」
ホテルの前でタクシーを降り、エレベーターの中でミニボトルに詰め替えたアリュールを手首と、首筋と、膝の裏につけた。その香は一瞬にして記憶の断片を呼び起こし、私は懐かしさに包まれて目を閉じた。
透に初めて香水をプレゼントされた時、私は彼や彼の友人に少し近づけたような気がした。私の瞳に映る3つ年上の彼らは、自分よりもずっと大人びていて綺麗だった。「これさ、つける人によって匂いが変わるんだ。舞にやるよ。いつもつけてて。」
私は彼と居る時も、居ないときも、高校へ行くときも、家で過ごす休日も、欠かさずその香水をつけるようになった。そうしていると不思議と彼が隣に居るような気持ちになれた。彼に守られているみたいだった。彼は時々猫のように私の首を顔で撫で、その香を確認しては何も言わず目を閉じて満足そうに微笑んでいた。その顔を見た私は、ずっと彼を包んで安心させられる女性で在りたいと願った。例えばマリアのように・・・。
チーン。到着を知らせるエレベーターの音が、残酷なほど容易に甘い記憶の糸を断ち切る。優しい感情の粒は温かい記憶と共に一瞬で劫火に焼かれ蒸発する。
私はパッと目を開け、機械のように迷いもなく無機質に部屋へと真っ直ぐ進んだ。ドアが開くと、すでに白いバスローブを着た男が私を出迎えた。
「今晩は。」
「やあ、舞ちゃん。久しぶりだね。入って。」
「ご無沙汰してます。」
男の視線がつま先から頭の上まで、私を舐めまわす様に上下する。
「とりあえず赤ワインでいいかな。」
ルームサービスのワインで喉を潤し、私は男に促されるままシャワーを浴びる。熱いシャワーで躰を流していると、かつて自分の中に存在していた様々な感情まで流れていく感じがした。
バスローブに身を包んでソファに戻ると、男は既に目の焦点が合わなくなっていた。指にはタバコのようなものが挟まれている。
「舞ちゃん、こっちへおいで。」
ソファに腰掛けた私の肩に、男が腕を回す。そして丁寧に私の口元へワイングラスを運び、その液体が喉を通過していくのをにんまりと見届けた後、ゆっくりと指に挟んだそれを私の唇にねじ込んだ。
「ゆっくりだよ。ゆっくり吸って・・・肺に入れて・・・溜めて・・・少しずつ吐いて・・・」
まただ・・・。毎度繰り返される丁寧なレクチャー。普段タバコを吸わない私は初めての時こそ凄い勢いで咽たけど、こんなもの何度かやったらコツみたいなものを嫌でも掴む。
「どう・・・?効いてきた?・・・僕は・・・もう、結構効いて・・・」
男の口へ、私の口へ、ゆっくりと規則正しく運ばれては灰になってゆくマリファナ。男の顔はもう完全に蕩けている。そしてのそのそと立ち上がり鞄の中を弄ると、少量の液体の入ったビニール袋を持ち出して私の鼻先に近づけてきた。
「これ・・・も、吸ってごらん・・・」
私は男の目を凝視したまま勢いよく鼻からそれを吸い込んだ。瞼を閉じると一気に頭が痺れて脳が回る。その刹那、私は懐かしさに涙がこみ上げてくるのがわかった。透の顔がフラッシュバックする。そして浮遊感が増すほどに意識は薄れてゆく。
「3つだけお願いがあるの。」
私はかろうじて目を開けて言った。
「私の両手を縛って。それから目隠しをして・・・部屋にこれを撒いて。」
私は鞄からエゴイスト・プラチナムを取り出して、天井へ向けて5回噴射した。それから男に向けて3回。部屋の中は咽返るほどの香りに満たされる。私は立ち上がり男を見ながら後ろ向きでベッドへ進む。男は私の視線の糸に引き寄せられるように1歩づつ近づいてくる。まるで甘い蜜に誘われる愚かな虫のように。マリファナが効いてきたせいで、男は本当に虫のように見えた。天井は波打って、空中にイスラムのモスクの細密画がびっしりと張り巡らされる。私はベッドに腰掛け、両腕を天に向けて差し出す。男はバスローブの腰紐を解くと、丁寧に私の両腕にそれを巻付けた。そして赤いショールで塞がれた私の視覚は暗闇へと誘われる。
「透・・・透・・・」
規則正しい動きと鈍い痛みの狭間に、遠い記憶の断片が次々と瞼の裏に映り、強い光を放っては白く消えて往く。かつて私に向けられた幾つもの眼差しが再び私の躰を包み込む。鮮やかに繰り返される彼の欠片の連鎖は、二度と同じ形を見ることは出来ない万華鏡のようだ。
「・・・舞・・・」
透の声がする。
左腕の傷、鎖骨のホクロ、細い指・・・残酷なほど鮮明な彼の欠片たち。私は温度のない幻覚と戯れる。もう、どちらが本当の世界であって欲しいのかわからない。これが夢ならば、二度と目覚めなくてもいい。何もなくていい。お願い・・・彼といさせて・・・。
 何時間ぐらいそうしていたのだろう。気がつくと男の気配はなく、バスタブに注がれる湯の音だけが部屋に響いていた。ミネラルウォーターを飲もうと無造作にサイドテーブルに手を伸ばすと、コトンとペンが落ちた。男からの置手紙。隣には1万円札が10枚置いてあった。
 
私はワインといろんなものが混合してまだ少し重たい頭を引き連れて、ヨタヨタとバスルームへ向かった。一面のガラス張りには、宵の名残を匂わせながら白む空。私はそっとバスタブの湯に躰を沈め、自分の肩を抱いた。蒼白い朝の光はどこまでも冷ややかで、私を少し安心させた。
また 朝が来る
また 1日が始まる
また 記憶が薄れてく
また あなたが遠ざかる


<タマユラの宵/第四話/赤い夜 "Red Night">完。


<次回からは、KanaTによる散文詩の登場です!お楽しみに!>

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